バランサ・サイトのトップに戻る 貿易講座のトップページへ 貿易に必要なこと 貨物の流れ その弐 発注する前に 支払方法





§2 貨物の流れ - その壱  


では、注文した貨物が手元に届くまでを見てみましょう。

これからの説明は船を使って貨物を運ぶ場合をベースにしています。
そのため船に関する用語が多用されています。
飛行機の場合は動きと用語が異なる部分があります。必要な説明は各パートにて。



     貨物を出す場合、貨物とは別にその貨物を表す書類(船積書類・shipping documents)が必要になります。 
   書類についてはこのページの最後に少し説明します。

   
その書類がないと、いくら貨物が準備できても、これから説明する流れに沿って貨物を動かすことが出来ません。
   それより何より、書類がないといくら貨物が日本に到着していてもその貨物を引き取ることができません。
   だから、貨物が売主の元を離れたら買主はその貨物の書類を入手することに注意を注ぎます。




   商品の値段は売主が商品そのものの値段とどこまでの経費を負担するかによって大幅に違ってきます。
    ですから値段を確認する場合、「建値(たてね)」はどう設定されているかを明確にしておく必要があります。
    ま、詳しくは各パートで。 





1. 貨物の出荷から積み込みまで

作 業 内 容


上の図の保税倉庫の部分で背景色がブルーに変わっていますが、
これは貨物が輸出許可を得たことで、国内貨物(内貨)から国外貨物
(外貨)に変わった事を示しています。 
つまり、例えばここがアメリカであったとしても、輸出許可を得た貨物は
アメリカ国内の貨物ではないという考え方です。

これは海外旅行で出国手続きを終えたらもう出国したと考えるのと一緒です。
ステップ1 売主(製造者もしくは輸出業者)は注文に応じて商品を準備します。
同時に売主は通関に必要な書類(船積書類)を準備し、通関業者に渡します。
ステップ2 普通売主は自分で準備の出来た貨物を運ぶことはしませんから、配送業者に貨物を保税倉庫まで運んでもらう手配をします。 配送業者は指定した場所まで貨物を運びます。
ステップ3 貨物が保税倉庫に搬入されたことを確認したら、通関業者は売主から入手した書類を基に通関作業に入ります。
ステップ4 通関が切れたら(輸出許可が下りたら)、運送手段(船もしくは飛行機)に積み込む事が出来るようになります。
ステップ5 積み込みが終わったら、運送会社(船会社・航空会社)からそれを証明する運送状(船の場合B/L)が発行されます。
それを通関業者は売主に届けます。
 <建 値>
EXW (EX Works : 工場渡し)  : 商品

商品代金のみでその他一切の経費を売主が負担しない。  つまり、売主の貨物引渡し義務は売主の工場、倉庫等で履行される。
この場合、買主は相手国での国内運送費用、通関費用、積み込み費用等この貨物を動かすための一切に費用を負担しなければなりません。

但し、この場合運送方法などは買主に決定権があります。

引き渡し後の貨物の危険負担は買主に移る。


FOB (本船渡し) : 商品 + 配送費 + 通関費用

商品代に加えて、貨物が積み込みが完了するまでに一切の費用を売主が負担する場合。
つまり引き渡し義務は貨物が船の手すりを越えた時(積み込みが完了した時)に終了する。
売主には国外での運送方法の決定権はありませんので、買主が指定した船、もしくは航空機に載せる手配をします。
(注:ここで言う通関費用とは輸出許可を得るための手続き費用と、積込費用をも含んでいると考えてください。)


危険負担も積込が完了した時点で買主に移行する。



2. 運送途中

作 業 内 容
ステップ1 売主は、貨物が日本に届くまでに船積書類(1−5で入手した運送書類を含む)を買主の元へ何らかの方法で送ります。 
(ここで「何らかの方法で」と言っているのは、支払方法によってその書類の送付方法が違ってくるからです。) 
船の場合は運送所要日数がかなりありますから、近隣アジア諸国からの場合を除いて、貨物到着前に書類を入手することは可能です。

航空機利用の場合、積込後、即日〜2,3日で貨物は到着します。
そのため、書類は売主の手を経由せずに、同じ飛行機に搭載されてきます。
もし、売主から航空会社、便名、貨物の番号(AWB#:エアウェイビル番号)を知らせてくれないと、貨物が到着した後暫く買主は貨物の確認が出来ず、通関作業へ入れません。 そのため、買主は売主に対し、その情報をすぐにもらえるように依頼します。


ステップ2 船の場合、入港の1週間くらい前に船会社からARRIVAL NOTICE (アライバル・ノーティス/到着案内)が届きます。

もし買主のほうで保険をかけなければならない場合、到着案内に記載されている海上運賃/航空運賃に基づいて保険填補依頼を保険会社にします。


<建 値>
CFR (運賃込み条件) : 商品 + 配送費 + 通関費用 + 海上運賃

輸出国内費用に加えて、輸入国までの運賃をも売主が負担する。
この場合、海外輸送に携わる運送会社は売主が決定する。


但し、貨物の危険負担はFOBと同様、積み込みが完了した時点で買主に移転する。

CIF (運賃込み条件) : 商品 + 配送費 + 通関費用 + 海上運賃保険料

輸出国内費用に加えて、輸入国までの運賃と保険料を売主が負担する。
つまり、2-2で説明の買主による保険填補は不要。
この場合、海外輸送に携わる運送会社と保険会社は売主が決定する。 
保険条件がどのようなものかは事前に確認しておくべき。


但し、貨物の危険負担はFOBと同様、積み込みが完了した時点で買主に移転する。



3. 貨物到着から引取りまで

作 業 内 容


パート1の時と同様、保税倉庫で通関手続きを取り、輸入許可が下りて初めて、
その貨物は日本の内貨貨物となります。
もし何らかの問題があって、輸入が許可にならなかった場合、
この時点でその物品は廃棄処分か、積み戻されます。
ステップ1 貨物の到着前、買主は入手した書類を通関業者に渡す。

ステップ2 通関業者は貨物の到着を確認、預かった書類を基に必要ならば税関以外の各関係省庁に申告手続きを取る。

ステップ3 ステップ2の審査を通過したら、税関に申告して関税額、輸入消費税額を決定。 税関の申告の許可が下りたら、決定税額を払い込む。

ステップ4 全ての手続きが完了したら運送業者が買主まで貨物を配送する。

ステップ5 買主の販売活動開始。


<note>

ステップ2
日本の法律に照らして、輸入に条件や規制があるもの(薬品、食品等)は税関申告の前に、関係省庁の許可を得ることが必要。

ステップ3
それぞれの物品に関して関税率が定められているので、それに基づいて関税額が決定される。
その後、その関税額も含めた金額に対して輸入消費税が課される。

ステップ4
保税倉庫からの配送は買主が特に手配しなくても、通関業者の方で配送まで含めて業務を行ってくれる。


ステップ5
ここからは日本の商慣習に添った動きになる。 これまでは商品は輸入業者から1社〜複数の卸業者を経由して小売店の店頭に並ぶ。 それぞれの段階で利益、運送費、倉庫料等の諸費用が生じるため、売主時点のこれまでの経費を全て含めた輸入原価から数倍の価格が一般小売価格として設定される。 但し、最近この流れが崩壊しつつある。






建 値

上では4つの取引条件のみ説明していますが、これは国際商業会議所が輸出入取引に関して、定型の取引条件、特に当事者間の費用負担の限界と危険の負担の限界を定めたインコタームズ(Inco Terms : International Commercial Terms)に基づいてのことです。 このインコタームズで規定されているのは全部で13あります。 ただこの中で伝統的に使用されてきたのはFOB,CFR,CIFの3つです。 ある調査によると総合商社A社の使用条件の90%以上がこの3つのいずれかだったと言っています。 私自身、この4つの条件以外の取引条件が相手から提示されたことはありません。   他の取引条件についてはまた別の場所で説明したいと思います。

これまでの部分をまとめると以下の様になります。

費用負担の限界 (売主が負担する部分を表示) 危険負担の限界

ここでは特に、費用負担の方に注目してください。

ここでは取引条件がCIFの場合を例にとって考えていきましょう。
この場合、国内諸費用、運賃、保険料の費用負担分を価格に込めなければなりません。 これらが商品一個あたりいくらになるかという計算が必要になってきます。  これらの費用は数量(諸費用、運賃)や、商品+運賃の金額(保険料)によって変動します。 ただ、それぞれの設定下限はありますから、それ以下の数量や金額であっても費用は同じだけかかり、商品に対する費用の比率は上がります。

つまり、最低国内費用と最低運賃が1M3(立方メートル当り)   :  各100ドル、
     最低保険料が商品+運賃の価格総計10,000ドル当り :    25ドル
だった場合、合計で225ドル必要になりますね。

これを下回った場合、つまり0.5M3の量で、価格総計が5,000ドルだったりしても、この225ドルより下がることはありません。

例えば、この商品が1個45ドル、容量が0.005M3/個 とすると、最低国内費用と運賃に見合う数量は

     1M3 ÷ 0.005 M3 = 200個

となります。 この場合の商品代と運賃の合計は

     $45 x 200個 + $100 = $10,000

となります。 保険料の最低基準きっかりですから保険料は25ドルとなります。
でも、こんなにちゃんと価格と数量が最低数量とマッチすることはまずないですけれどね。

この200個の数量を越えた場合はその数量、つまり容量と合計金額に応じて費用は増えていきますが、逆に200個を満たさない場合、一個あたりの費用は高くなります。

200個の場合 : 225 ÷ 200 = $1.125/個

100個の場合 : 225 ÷ 100 = $2.250/個

50個の場合  : 225 ÷ 50 = $4.5/個

ここで売主がCIF価格として$1.125を提示した場合、200個未満しか売れないと売主は損をすることになります。
ですから、売主はこの価格を提示する際には最低発注数量200個というのを条件とするわけです。

EXWの場合は、費用負担がありません。 ですから発注最低数量の設定は、生産効率とか梱包の都合とか売主の都合が多く、設定していない場合も多いようです。

しかし、上記の理由でFOB、CFR、CIFの場合、価格の提示に最低発注数量は必ず確認しなければならないポイントです。

値引き交渉をする際、同一取引条件での価格を下げる方法と、同じ価格で取引条件をより有利な方に変える方法(EXW → CFR等)があります。



もう1つ、取引条件の表示方法について説明しておきましょう。

貨物の発地がバーミンガム、出港地がサザンプトン、到着地が東京としましょう。
もしそれぞれの取引条件での価格が£1だったとすると、

£1 EXW バーミンガム

£1 FOB サザンプトン

£1 CFR 東京 
£1 CIF 東京


と取引条件を表す記号の後に費用負担が終了する場所が
表示されることに注意してください。





必 要 書 類

貨物を輸出→輸入する場合、実際に貨物を一個一個調べて内容を確認し、手続きを行うわけではありません。
まずはその貨物を表している書類を調べ、何らかの問題がある場合に実際に内容点検することになります。
ですから売主は必要な書類を正しく作成、もしくは入手して買主に渡さなくてはなりません。
輸入通関時に最低必要な書類は4点です。

@ INVOICE (インボイス:商業送り状) : 
売主が作成

買主に対し、輸出貨物の明細を示す書類であり、かつ代金の請求書の意味を持つものです。
ここで記載される項目は、 商品の内容・数量・単価・合計金額・建値などです。

例 : 

(Trading Term : CIF TOKYO IN US$)

discription of goods
商品名
quantity
数量
u.price
単価
amount
合計金額
Teddy Bear Small 200 pcs US$30.00 US$6000.00
Teddy Bear Large 100 pcs US$ 60.00 US$6000.00
合計 300 pcs US$12,000.00


届いたインボイスの確認項目は
○ 売主(輸出者)のサインがあるか。
○ 買主(輸入者)宛てに作成されたものであるか。
○ またL/C(決済方法の一種)に基づいている場合は、商品内容がL/Cと一致しているか。
   L/Cで要求されている部数発行されているか。  (L/Cについては後日解説)

貨物の出荷前に支払いを要求された場合は、このインボイスの到着を待って支払い手続きをとるということは出来ません。 また、その前に支払準備をするのにも出荷前に内容を確認しておくことが必要です。
そのために、買主が発注したのに、売主は内容を確認し「セールス・コンファメーション」か「プロフォーマ・インボイス」というこの内容で出荷しますよと示した書類を発行します。 その内容はほとんどインボイスと同じ物となります。
(注:ほとんどと言っているのは、出荷直前に変更がある場合もあるし、記載内容を簡略化する場合もあるからです。

A PACKING LIST (パッキングリスト:梱包明細書) : 
売主が作成

商品の包装や数量・重量を記載したものです。 
包装とはカートンなのか、袋なのか、木箱なのか、またその1単位に入っている商品とその数量、その1単位の重量、容量を示します。

書類によって商品明細の記載内容が違うのを、インボイスの場合と見比べてみてください

Carton No.
カートン番号
description of goods
商品名
quantity
数量
net weight
正味重量
net volume
正味容量
1 Teddy Bear Small 180 pcs 50 kgs 0.20 cbm
2 Teddy Bear Small
Teddy Bear Large
20 pcs
40 pcs
60 kgs 0.20 cbm
3 Teddy Bear Large 60 pcs 50 kgs 0.20 cbm
TOTAL 300 pcs 160 kgs 0.60 cbm

カートン : 紙箱(ダンボール箱)  /  cbm : cubic meter (立方メートル)

なお、売主によってはインボイスとパッキングリストの内容を一つにまとめた形式のインボイスを発行するところもあります。



B B/L, AWB (船荷証券、航空貨物運送状) 船会社や航空会社が発行

船会社もしくは航空会社が貨物を引き受けた時に発行されますが、B/LとAWBでは性格が異なります。

B/L(Bill of Lading =船荷証券)は船会社が貨物を船積み地点で受け取ったことを証明し、指定地点まで運送し、その荷揚げ地でB/Lの正当な所有者に貨物を引き渡すことを約束した有価証券です。 裏書により流通性が生じます。 つまり、これを紛失すると貨物を引き取れませんので、売主・買主共に十分な注意が必要です。

一方、AWB (Air Waybill = 航空貨物運送状)は航空貨物の受取証として航空会社もしくは混載業者が発行するものです。 受取証に過ぎず、B/Lと違って有価証券ではありません。 


上記の詳細については専門書にお任せすることにして、貨物追跡について少し説明します。
毎日莫大な数の貨物が動いているわけですから、○○社の貨物はどうなっています?なんて聞いても対応し切れません。 それで、B/L、AWBにはそれぞれ番号が付けられています。 貨物が引き受けられた後は運送会社はその番号で貨物を管理しますから、問い合わせをする際はこの番号を使用します。 なお、航空貨物運送状の場合、混載業者が発行したAWBにはマスター番号(MAWB#)とハウス番号(HAWB#)の2つがついていますから、両方を通知しなければなりません。


C 保険証券 (Insurance Policy :インシュランス・ポリシー) 保険会社発行

これは取引条件がCIFの時は売主が入手して他の書類と一緒に買主に送付します。
買主が保険填補する場合は、買主再度の保険会社に依頼して発行してもらい、輸入通関時に他の書類と一緒に提示します。

****************

これ以外にも商品によっては以下のような書類が必要になります。

原産地証明書
重量容積証明書
分析証明書
燻蒸証明書
領事送り状  等




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